環境に関する研究

狭い日本、埋め立て地が足りない。どうしよう。

 日々発生する生活ごみをどう処理するかは大変な問題です。日本は国土が狭いから埋め立て地の確保が大変。昔は、ごみはそのまま捨てていたが、体積を減らすために焼却処理をすることになりました。それにより、ごみの体積はもとの15%程度にすることができます。しかし、含まれる重金属も濃縮されてしまいます。体積を減らし、重金属が溶け出ないようにするため、焼却灰を溶融する方法が導入されてきています。体積はこれによりさらに1/3まで減らすことができます。

 焼却灰溶融の問題点は、コストです。溶融するエネルギー代もかさむし、溶融炉の炉材が傷むのでしょっちゅう修復しなければならないのです。

 私どもの研究室では、焼却灰と溶融灰を用いて、全てを溶融したのと同じ効果が得られる方法を開発しました。これにより、これまでそのまま捨てていた焼却灰を溶融することなく、溶融したのと同じ効果を得ることができるようになったのです。

 

 H18,19年度修士学生、羽成さんはこのテーマで「なのはなベンチャーコンペ」で受賞しました。焼却灰と、溶融灰を引き取ります。このとき引取料が入ります。そして、処理後、埋め立て地のサンドイッチ助剤(ごみが飛ばないように、普通はごみと山砂利を交互にサンドイッチします)として販売するというものです。羽成さんの作成したイメージ図を下に示します。

 

古紙再生で出るペーパースラッジが土壌改良材になる。

 ←ペーパースラッジにより収穫が上がったという記事。

 

古紙の再生工場では、古紙をどろどろに溶かしてから、インクや表面コート材などを取り除いています。このとき取り除いたものがペーパースラッジと呼ばれるものです。ペーパースラッジそのものやその焼却灰を畑に撒くことにより土壌を改質して、収穫量をあげようとする試みがなされています。ごみが減り、収穫量が増えれば一石二鳥です。ペーパースラッジは、家庭ごみとは異なり、含まれているものがだいたい決まっています。ですから、心配なく畑に撒くことができたのです。

 ところが最近、フッ素の溶出を厳しくしようという動きが出てきました。紙への添加剤に入っていたのです。私どもの研究室では、ペーパースラッジ焼却灰に廃ガラス粉を加えて加熱することにより、これを解決しました。土壌改良材としての特性を残したまま、フッ素溶出を抑制できたのです。ガラスもリサイクル運動が盛り上がっていますが、色ガラス瓶は再びガラス瓶にすることができないのです。いろいろな色が混ざってしまいますので。これを使うというアイデアです。

 

 


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