理論的には一千光年の旅を生きている間にできる

 アインシュタインは「光より速く移動するものはない」と言いました。一千光年とは、光が一千年かかって届く距離です。この世で一番速い光でも一千年かかるわけですから、生きている間に一千光年の旅はできそうもありませんね。

 

 ところができるのです。光に近いスピードで旅をすると浦島太郎みたいになるという話を聞いたことがあるでしょう。「光に近い速度で1年間旅をして地球に帰ってきたら地球は何十年も経ってしまっていた」、という話です。光のスピードに近い速度の宇宙船を地球からみると宇宙船の中の時間はゆっくり進んでいるのです。だから地球からみて一千年跳び続けている宇宙船の中の時間は10年しか経っていないということが起こりうるのです。

 

 例えば光の速度の99.9%のスピードで宇宙船が旅を続けたとします。地球からみてその宇宙船は1001年かかって一千光年かなたの目的地に到着することになります。ところが宇宙船の中の時間進みは地球の約1/22になります。地球での1001年は宇宙船の中では約45年なのです。したがって、宇宙船の乗組員にとっては45年で一千光年の旅ができるということです。

 

 矛盾を感じた人はいますか。「宇宙船の乗組員から見たとき一千光年をわずか45年で旅をした」、とすると光よりずっと速い速度で飛んだことになりますね。しかし、光速に近いスピードの宇宙船からみると外の景色が縮んで見えるのです。光の速度の99.9%のスピードで飛んでいる宇宙船からみると一千光年の距離は約1/22の45光年に見えるのです。ですから45÷0.999=45年で到着しても矛盾がないのです。

 

参考:  長さ l0の物体が速度vで動いているとき見える長さl

          

              ただしcは光速

        速度vで動いている宇宙船内の経過時間T0と外部から見た経過時間Tとの関係

          

 


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