触媒学会 関東支部
第44回触媒サマーセミナー

最終更新日
2013/07/03



主催 触媒学会(東日本支部)

協賛 日本化学会,石油学会,化学工学会

日時 平成25年7月31日(水)午後〜8月2日(金)午前

場所 ホテル花月園 (〒250-0631 神奈川県箱根町仙石原1244-2

Tel 0460-84-8621 Fax 0460-84-9015 http://hotel.kagetsuen.net/)


 触媒サマーセミナーは昭和45年から毎年夏に箱根で行われており,今年は第44回を迎えます.今回は,ファインケミカルから、工業触媒まで様々な分野の最先端で研究・開発に従事されている先生方をお招きする予定です.ご講演やご討論,歓談などを通して,講師と参加者相互の情報交換や懇親を深めたいと思います.本セミナーは,ゆったりとしたスケジュールで行われます.通常の講演とはひと味違うリラックスした雰囲気の中で,自由な意見交換がなされる場として定着しております.箱根高原のさわやかな環境の中,懇親の場として是非ご活用下さい.ご家族の参加も歓迎いたします.


プログラム(敬称略)

7月31日(水)午後14時頃 開会
 関根 泰(早稲田大学) 「ペロブスカイト型等の複合酸化物を担体として用いた触媒反応の学理と応用」
 堀 容嗣(高砂香料工業(株)) 「固体触媒と有機触媒による不斉誘起」
8月1日(木) 午前
 山口和也(東京大学) 「マンガン酸化物を担体もしくは触媒として用いた液相酸化反応」
 福永哲也(出光興産(株)) 「藻類バイオマスからの燃料製造」
8月1日(木)午後
 福岡 淳(北海道大学) 「高度設計触媒によるバイオマス変換」
 室井高城(アイシーラボ)「シェールガス革命により変貌するエネルギーと化学品触媒」
 尾中 篤(東京大学)「ゼオライト─その新しい機能の発掘」
8月2日(金)午前
 梅野太輔(千葉大学)「分子触媒の「多体問題」と戦う? 〜合成生物学の世界」
 高橋亮治(愛媛大学)「多孔体を創る」
12:00頃閉会

※プログラム順は都合により変更させていただく場合もございますので、ご了承下さい.


参加費
<2泊3日の場合>
 学生;触媒学会員・協賛学会員35,000円,非会員45,000円
 一般;触媒学会員・協賛学会員50,000円,非会員65,000円
 同伴者;23,000円
<1泊2日の場合>
 学生;触媒学会員・協賛学会員23,500円,非会員33,500円
 一般;触媒学会員・協賛学会員38,500円,非会員53,500円
 同伴者;11,500円

申込方法と申込先
以下の事項をご記入の上,e-mailにて
佐藤(satoshi@@faculty.chiba-u.jp @マークを一つ削除ください)までお申し込みください.
【氏名,年齢,性別,所属,連絡先(住所・電話・e-mail),
 参加資格(学生・一般),
 会員区分(触媒学会正会員・学生会員・団体会員・協賛学会員・非会員),
 宿泊日数,喫煙・禁煙希望,ご家族同伴の有無(有の場合は大人,子供の人数)】
締め切り:定員になり次第

問合せ先
世話人代表 佐藤智司(千葉大学 大学院 工学研究科 共生応用化学専攻)
〒263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
Tel: 043-290-3377,Fax: 043-290-3401
E-mail: satoshi@@faculty.chiba-u.jp @マークを一つ削除ください

世話人
  関根 泰(早稲田大学)
福永哲也(出光興産(株))
佐藤智司(千葉大学)


講演概要

7月31日(水)午後
 関根 泰(早稲田大学) 「ペロブスカイト型等の複合酸化物を担体として用いた触媒反応の学理と応用」
   ペロブスカイト型酸化物などの複合酸化物は、カチオン種を制御することで高度な触媒特性の制御
  が可能である。複合酸化物を担体とし各種金属を担持した触媒における、担体構造と金属ー担体相互
  作用の相関について、各種炭化水素の酸化・改質などの活性とXAFS/XRD/XPS/IR/STEM/熱重量分析等
  によるキャラクタリゼーション結果を基に検討した。金属ー担体相互作用と金属分散性、炭素析出耐性
  などについての知見を総括する。

 堀 容嗣(高砂香料工業(株)) 「固体触媒と有機触媒による不斉誘起」
   均一系の錯体触媒を用いた不斉水素化反応は、触媒化学においても大きな柱となった分野である。
  しかし、その不斉金属触媒をもってしてもシトラールの不斉水素化には全く歯が立たない(不可能であった)。
  最近、パラジウム旦持固体触媒と不斉有機触媒の触媒系(Dual catalyst system)を発見した。
  この触媒系を用いると、容易にシトラールの不斉水素化が進行し非常に高い不斉収率で、
  メントール合成の重要な中間体であるシトロネラールが得られた。

8月1日(木) 午前
 山口和也(東京大学) 「マンガン酸化物を担体もしくは触媒として用いた液相酸化反応」
   我々は、マンガン酸化物(2×2 hollandite 構造を有するOMS-2など)を担体として調製した担持金属触媒が、
  酸化的脱水素型カップリング反応に対して優れた触媒作用を示すことを見出した。また、OMS-2を触媒として
  用いると、アルコール、アミン、アルキルアレーンなどの酸化的アミド化反応が効率よく進行することも見出
  している。本講演では、我々が行ってきた上記のようなマンガン酸化物を担体もしくは触媒として用いた液相
  酸化反応系の開発について詳しく述べる。

 福永哲也(出光興産(株)) 「藻類バイオマスからの燃料製造」
   バイオエタノールやバイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル)は既に商品化されている。更には、これらを
  非可食バイオマスから製造する第二世代バイオ燃料の上市も近いと言われている。一方近年、微細藻類から
  ジェット燃料や軽油を製造する、いわゆる第三世代バイオ燃料の技術開発が盛んである。本発表では、石油系
  燃料と同一性状の燃料であるDrop-in Fuelを微細藻類から製造する技術を中心に、関連規制、開発動向、
  課題等について述べる。

8月1日(木)午後
 福岡 淳(北海道大学) 「高度設計触媒によるバイオマス変換」
   石油資源の減耗や二酸化炭素排出による地球温暖化の対策のために,再生可能エネルギーとしてバイオマスの
  利用が期待されている。セルロースはバイオマスの主成分であり再生可能な有機資源として魅力的であるが、
  選択的な分解は困難である。本講演では,セルロースの選択分解を目的として我々のグループで開発した触媒
  について,機能(活性・選択性・耐久性)を紹介するとともに,触媒設計の基本的な考えを述べる。

 室井高城(アイシーラボ)「シェールガス革命により変貌するエネルギーと化学品触媒」
   米国に始まったシェールガス革命により従来のエネルギー触媒や化学品触媒が大きく変わろうとしている。
  ナフサ原料のエチレンコンビナートは天然ガスコンビナートに変貌するかも知れない。天然ガスを原料とした
  ガス化, 合成燃料, 新たなエチレンやプロピレン合成に必要な工業触媒について解説する。

 尾中 篤(東京大学)「ゼオライト─その新しい機能の発掘」
   固体触媒の開発研究には,触媒材料を新規に開発し,その触媒作用を探索するものと,既知の触媒材料ではあるが,
  調製法や化学修飾法に工夫を凝らして,優れた触媒作用を引き出すものがある.ゼオライトは,古くから知られて
  いる材料であるが,新しい観点から活用することで,その潜在能力が新たに引き出される素材である.我々が関心
  をもって進めている有機反応へのゼオライトの活用法をお話しする.

8月2日(金)午前
 梅野太輔(千葉大学)「分子触媒の「多体問題」と戦う? 〜合成生物学の世界」
   細胞の中では,千を越える種類の分子触媒(酵素)が互いに尊重しながら整然と働いている。しかもそれらは,
  必要に応じて改良されたり新開発されたりする。一体,細胞という夾雑系でちゃんと働く分子「システム」の機能
  はいかにして生まれるのか。いや,生まれるべきなのか。そして,それらは,どのようにして恊働関係を築き,
  ひとつの意味あるチーム機能を発揮するのか。本講演では,さまざまな生物からいろいろな酵素を集めて一つの袋
  (細胞)の中でうまく恊働させ,様々な有価物質への代謝経路を自由に描く試みについて紹介したい。生物が
  「ふつうに」に持っている代謝経路であるが,我々の手でその建築を行おうとすると,ありとあらゆる問題が現れる。
  我々の取り組んできた幾つかのプロジェクトを例示しながら,合成生物学者(synthetic biologists)を自称する研究
  者たちが取り組み始めた,代謝経路や制御ネットワークのゼロベース建設学の現在について,ご紹介したいと思います。

 高橋亮治(愛媛大学)「多孔体を創る」
   金属塩溶液のゲル化を制御することにより多様なナノメートル、マイクロメートルサイズの細孔構造を有する多孔
  体を作製できる。特に相分離の過渡構造を固定化して得られる二元細孔多孔体は、細孔内物質輸送の向上と、触媒
  活性点数の向上を両立できる、好ましい触媒・触媒担体となる。その構造制御の理論的背景、得られた触媒の活性
  と二元細孔構造による活性向上の実例をNi/Al2O3によるメタンの水蒸気改質反応を例にして説明する。