butではない「が」

 「チタン酸バリウムは圧電係数が高いが、誘電率も高い。」

この文の中の「が」は、英訳するとき「but」にはならない。なぜなら、後半の記述が、前半の記述と相反することを述べているわけではないからだ。「and」が適当だろう。井上先生の著によると、「が」にはいろいろな用法があるとのことだ。「問題の提起」、「対照」、「原因・理由」、「補足説明」、「譲歩」などだ。読者は、著者がどの目的で「が」を用いたか推測しなければならない。著者にそのような努力を強いる文は悪文である。井上先生は、「一流の文章にはほとんど『が』が使われていない」と述べている。

 このような用法の「が」を用いると、文も長くなる。文を分けて、それらの文の関連を明確になるように文章を組み上げるのが良い。実は、例文には次のような気持ちが込められている。

l        良い性能の圧電体が欲しい。

l        チタン酸バリウムは圧電係数が高いので良さそうだ。

l        圧電体は、誘電率が低い方が良い。

l        しかし、チタン酸バリウムの誘電率は高い。

l        だから残念だ。

自分が何を言いたいのか分析した上で、丁寧に述べていくと、読者の頭の中にすんなりと入っていく。

 

「が」の多用を避けよう。


悪文よ、さようなら

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