手抜き文は止めよう

 「ZrB2の抵抗率が,10- Ωcmのオーダーであることから,気孔の介在および導電粒子同士の接触部分へのガラス相の介在の可能性が示唆された。」

 この文は手抜きです。「10- Ωcmという抵抗率は、この系にしては高すぎる」ということを、読者に伝えていないのです。この研究者は、長年この物質を取り扱ってきている人でした。この数字を見ただけで、「普通ではない」とわかるのです。著者にとっては、常識なのです。だから手抜きをしてしまったのです。しかし、読者にとっては常識とは限りません。その前提がなければ、後半の気孔とか、ガラス相とかがどうして出てきたか伝わりません。次のようにしてはどうでしょうか。

ZrB2の抵抗率は,10- Ωcmのオーダーであった。この値は異常に高い。その原因の一つとして、気孔の存在が考えられる。また、粒子同士の接触部分にガラス相が存在している可能性もある。」

 きちんと伝えるには多くの情報を盛りこまなければなりません。長文にならないよう、短い文で順序立てて、丁寧に説明しましょう。

 

手抜きせず、きちんと説明しよう。


悪文よ、さようなら

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