Research/研究内容


Tissue engineering approaches using microengineered ECM materials
ECMタンパク質の微細加工と生体組織工学への展開

微細加工技術やマイクロ流体デバイスを駆使し,コラーゲンやマトリゲルなどのECM(細胞外基質)成分からなる微小材料を作製しています。これらの材料を生体組織工学へ応用し, 複数種の細胞が階層的に配置された構造体を作り,さらにそれらをパーツとして組み立てることによって,複雑な3次元的組織の作製にも取り組んでいます。

  

References: Lab Chip, 15, 3941–3951 (2015); ACS Biomater. Sci. Eng., 3, 2144–2154 (2017); Sens. Actuators B: Chem., 287, 486–495 (2019), etc.

Creation of vascularized liver tissue models using hydrogels
ハイドロゲルを用いる肝細胞培養系

肝臓は「生体の化学工場」とも呼ばれる重要な臓器ですが,肝細胞を生体外に取り出すと,その機能や生存率は急速に低下してしまいます。そこで,肝細胞の生体環境を生体外において模倣し,血管網をはりめぐらせた様々なハイドロゲル培養系を構築し,特に人工肝臓や創薬支援ツールとしての応用を目指した研究を展開しています。

  

References: Biomaterials, 33, 8304–8315 (2012); J. Biosci. Bioeng., 126, 111–118 (2018); ACS Appl. Bio Mater., 2, 2237–2245 (2019), etc.

Cell sorting, separation, and processing systems using microfluidics
細胞の分離・選抜・処理のためのマイクロフルイディクス手法の開発

血液,環境水,あるいは培養系などに存在する複雑な細胞集団から,特定の細胞や生体微粒子を分離・選抜する技術は,診断医療・バイオ医薬品生産・環境モニタリングなどにおいて必須です。当研究室では,幅・深さ数10マイクロメートル程度の微小な流路構造を精密に設計・作製し,細胞や微粒子の懸濁液を導入する,という簡便な操作で,特定の微粒子や細胞を正確に選抜する手法を開発し,応用を行っています。また,細胞の化学的処理や溶液交換などの操作も実現しました。既存の遠心分離手法や,コストのかかるセルソーターなどに代わる,「正確・簡便・高性能」なシステム開発を目指しています。

  

References: Lab Chip, 17, 304–314 (2017); Lab Chip, 19, 1828–1837 (2019); Anal. Chem., 92, 2580–2588 (2020); Anal. Chem., 76, 5465–5471 (2004), etc.

Biopolymer microengineering using microfluidic laminar flow systems
マイクロ流体層流系を利用した高機能バイオポリマー材料の作製と応用

マイクロ流路の内部に形成される安定な層流を利用することで,様々な形状を有する機能的ハイドロゲル材料の作製を行っています。断面方向に異方的なパターンを有する様々な形態のハイドロゲルファイバー・シートや,液滴を内包した多相材料を作製しています。たとえば精密に位置を制御された空間において細胞を培養することによって, 細胞の成長や癌細胞の浸潤挙動を単一の細胞レベルで評価することが可能となります。

  

References: Soft Matter, 8, 3122–3130 (2012); Biofabrication, 6, 035011 (2014); Lab Chip, 18, 1378–1387 (2018), etc.

Microengineering of polymer materials
様々なポリマー素材の微細加工法の開発と応用

マイクロ流体デバイスの作製において,通常はアクリル樹脂やシリコーン樹脂のような樹脂材料に対して,複雑な構造を形成するための微細加工技術が利用されています。当研究室では,既存の加工方法を発展させ,シリコーン樹脂やフッ素樹脂を加工する新規プロセスの開発を行っています。このような樹脂の加工法によって,マイクロ流体デバイスや微細加工構造のさらなる応用範囲の拡大が期待されます。たとえばウイルスの診断に利用されるラテラルフロー免疫分析のための高機能材料としての応用などを行っています。

  

References: AIP Adv., 3, 112105 (2013); Analyst, 144, 1519–1526 (2019); Anal. Chem., 91, 13377–13382 (2019), etc.

Synthesis of functional microparticles using droplets in a nonequilibrium state
非平衡液滴を用いた機能性微粒子の合成

マイクロ流路内で安定に形成される液滴を利用すると,複雑な形状の微粒子を正確かつ簡便に合成できることが知られています。当研究室では, 水溶性有機溶媒と水を用いて一時的に形成される非平衡状態の液滴を用い,その溶解現象を利用することで,マイクロメートルオーダーの様々な各種機能性材料(ポリマー粒子,ハイドロゲル粒子,リポソーム,etc)を作製する新規手法の開発を行っています。

  

References: RSC Adv., 4, 13557–13564 (2014); Langmuir, 31, 2334–2341 (2015); RSC Adv., , 7, 17773–17780 (2017), etc.