研究概要

研究内容(2024年度)

光,電子,バイオなど特異な機能発現機構に基づいた低分子から高分子までの材料を開発しています。主な研究テーマは,以下の通りです。

(1)希土類元素などに対して選択的吸着能を有する高分子材料の開発

(2)医療診断用高分子材料の合成

(3)エレクトロニクス用高分子材料の創製

(4)ロタキサンと高分子を組み合わせた高分子材料の創製

(5)廃棄プラスチックを肥料に変換する循環システムの構築

(6)超分子的相互作用を利用した高分子材料の開発

当研究室で、最先端の材料化学研究を体験してみませんか? スタッフ、学生一同、やる気に満ち溢れた人を歓迎します。

 

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研究内容(~2023年度)

エネルギー変換材料化学研究室では、光・電子材料としての機能を含め多様で特異な機能性を持った低分子から高分子までの材料の開発(合成法の開発、材料の機能化や機能発現機構の解明)を行っています。
 主な研究テーマとしては、(1)有機金属錯体や低分子の有機化合物からなる発光・ホスト材料の創製と有機ELデバイスへの応用、(2)3Dプリンターなどに使用可能なフォトポリマーや光開始剤の開発とそれらの反応機構の解明、(3)精密重合による構造規制された高分子合成、(4)表面特性が制御された機能性高分子材料の創製、などがあります。


 研究手法としては、i) 新規有機化合物や高分子の合成を行い、ii) 吸収、蛍光、円偏光二色性、レーザー分光、時間分解分光、DSC、TG-DTAを用いた物性測定、iii) NMR、GPC、動的光散乱、電子顕微鏡を駆使した高分子の構造解析、iv) 単結晶、X線および中性子散乱解析による分子レベルでの構造解析、v) 有機EL、有機FETの作製(共同研究を含む)を行います。また、企業や国内外の様々な研究ルグープとの共同研究を行っています。

当研究室で、最先端の材料化学研究を体験してみませんか? スタッフ、学生一同、やる気に満ち溢れた人を歓迎します。

 

(1)有機金属錯体や低分子からなる発光・ホスト材料の合成と有機ELデバイスへの応用

有機エレクトロルミネセンス(有機ELまたはOLED)材料として有用な発光材料やホスト材料を合成し,デバイスを作製し評価します。発光効率の高いりん光型発光材料であるイリジウム錯体を中心に研究し、さらに効率的に青色けい光を示すアントラセン誘導体の合成や、錯体を効率的に発光させるためのホスト材料の開発も行っています。

赤色、緑色、青色有機ELデバイス
赤色、緑色、青色有機ELデバイス

(2)イリジウム錯体の光異性化挙動の解明

イリジウム錯体に光を照射することによって生じる、幾何(meridional-facial体)および光学(D-L体)異性化機構についての調査を行っています。光照射によって生成する励起状態からの反応機構を解明することによって、有機EL材料として用いた際の電荷が再結合してできる励起状態からの失活過程の制御に役立つと考えています。また,熱に弱い配位子からは発光性の乏しいmeridional体しか合成できないため,これを光異性化させ高効率な発光を示すfacial体へ異性化させることでイリジウム錯体合成へ応用します。

提案される光異性化機構
提案される光異性化機構

(3)フォトポリマーや光開始剤の開発とそれらの反応機構の解明

フォトポリマーとは、半導体の回路作製用レジスト、印刷版やUVインキとして重要な感光性材料です。特に最近は液晶ディスプレイ用カラーフィルターやブラックマトリックスの製造に用いられています。当研究室では、増感色素とラジカル発生部位を連結させた、高性能の開始剤を開発しています。また、素早く硬化し、現像性の良い樹脂の研究も行っています。

(4)高分子微粒子の合成とコロイド特性の評価

高分子微粒子の合成には、乳化重合、分散重合、シード重合、懸濁重合など種々の手法があります。粒径などのコロイド特性は、これらの合成方法を適切に選択することによって制御することができます。界面化学的観点から高分子微粒子合成法の開発を行っています。


J. Colloid Interface Sci., 2008, 327, 58
Colloids Surf. A: Physicochem. Eng. Aspects, 2010, 356, 169
Macromolecules, 2012, 45, 9435
Colloids Surf. A: Physicochem. Eng. Aspects, 2015, 482, 68


(5)リビングラジカル重合による固体材料の表面修飾

固体表面に性質の異なる高分子鎖がブラシ状に生えた(graft)材料は、様々な工業材料への応用が期待されています。分子量および分子量分布を制御することができるリビングラジカル重合によるgrafting-from法により、バイオメディカル分野などに応用可能なコア–シェル粒子を合成しています。


Colloids Surf. B: Biointerf., 2009, 71, 194 
Colloids Surf. A: Physicochem. Eng. Aspects, 2010, 369, 240 
J. Polym. Sci. A Polym. Chem., 2013, 51, 4042 [Selected as an Inside Front Cover]
Polymer, 2014, 55, 5080

(6)有機/無機複合材料の調製

代表的な有機材料である高分子と無機材料とを複合化させることができれば、機械的強度を向上させることができるだけでなく、電場や磁場などの外場の変化に応答する材料を創製することが可能になります。触媒機能を有する高分子材料を用いて、ハイブリッド材料を開発しています。


J. Colloid Interface Sci., 2010, 347, 62
Colloids Surf. A: Physicochem. Eng. Aspects, 2011, 377, 63
J. Colloid Interface Sci., 2012, 368, 107
J. Colloid Sci. Biotechnol., 2014, 3, 68


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