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炭素材料(カーボンマテリアル)とは?

炭素材料には、黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維(カーボンファイバー)、活性炭、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンブラック、酸化黒鉛、膨張黒鉛等様々な種類があります。これら炭素材料は補強材料(航空機、自動車、スポーツ用品、タイヤ)、触媒担体、電極材(乾電池、燃料電池)、分子篩膜、浄水用吸着材、消臭材、化粧品、シャンプー、フェイスマスク、表面コート、電磁波遮蔽材料、放熱材料、食品(飴等)、薬(吸着剤として)などに応用されています。


           フラーレン                      カーボンナノチューブ                      グラフェン

              図      代表的な3種類のナノカーボン材料の構造


これらの炭素材料は、その形(サッカーボール状、チューブ状、シート状などの構造)の違いの他に、不純物(6員環以外の炭素(5員環、7員環、sp3Cなど)や、炭素以外の元素(水素や酸素、窒素、金属など))などが存在します。特に、6員環以外の炭素や炭素以外の元素が不規則に存在する場合、これらは炭素材料の「欠陥」と言えます。この欠陥を正確に解析し、また制御することにより、炭素材料の特性を著しく向上することができると考え、研究を進めています。

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本研究室の研究の方向性
炭素材料の欠陥構造を完全に理解することにより、炭素材料の新たな可能性を探求し、炭素材料の分野に貢献します。

本研究室の研究の背景
炭素材料は、安価で資源量の豊富な植物や石油、石炭、天然ガス、プラスチック等を原料として600〜3000℃で一般的に酸素を入れずに加熱することで作られています。炭素材料は全て異なる構造をしているため様々な用途に利用できます。しかし、これらの炭素材料の構造の多くは複雑でいまだに正確にはわかっていません。これらの構造を正確に把握し、構造を制御できるようになれば、これまでにない新たな用途も期待できます。近年、これらの炭素材料は様々な反応を促進する「触媒」としても利用が期待されています。触媒とは、様々な反応を低温(少ないエネルギー)で進行させることができる材料のことで、一般的には高価な金属が触媒として使用されています。炭でできた触媒はこれまでの金属触媒と比べても安価であるため、炭素材料を触媒として利用する研究は現在多くの研究が進められています。しかし、触媒として実際に使用できる炭素材料の構造は、1種類の反応において基本的には1種類の構造であるため、その炭素材料の構造を制御し、様々な反応に対応可能な異なる種類の炭素触媒を作る必要があります。

本研究室の研究の目的
炭素材料の構造は、一般的にX線や赤外線などを用いた装置で測定されています。しかし、その測定結果を詳細に解析することは難しく、多くの研究者が正確な構造を把握できていない状況にありました。そこで、本研究室ではコンピューターを利用して測定結果を解析することにより、多様な炭素材料の構造の特定を目指しました。また、これまでの炭は、構造が複雑な植物や石炭などを原料として作られていたため、複雑な構造の炭が作られていました。そこで本研究室では構造が明らかな原料を使用して、構造の明らかな炭を作り、実際に触媒として使用することを目的としています。



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本研究室の研究内容

(1)ナノカーボン材料の欠陥構造の解析

(1-1)分光分析・顕微鏡による解析:

ナノカーボン材料には官能基に加え、空孔や、5、7員環(Stone-Thrower-Walesなど)、ジグザグエッジ、アームチェアエッジなどの欠陥が存在します(図1-1)。これらの欠陥構造を光電子、赤外、透過型電子顕微鏡(図1-2)、Raman分光分析(図1-3)などで解析しています。

図1-1 グラフェンの欠陥の種類                      図1-2 グラフェンのTEM像       図1-3 グラフェンのラマンスペクトル



(1-2)量子化学計算を用いた欠陥構造解析(XPS・IR):

炭素材料のベーサル面、エッジ面には様々な種類の官能基や点欠陥などの欠陥が存在します。炭素材料の特性を最大限に引き出すためにはこの官能基の完全解明が求められます。この解明のため含酸素官能基(図1-2-1)[1-2-1,1-2-2,1-2-5]、含窒素官能基[1-2-3,1-2-5]、5員環[1-2-4]、その他の欠陥のXPS(図1-2-2)やIRスペクトルのシミュレーションを行っています。
Gaussian09という計算ソフトを利用して100種類以上の異なる炭素材料の構造を組み立てて、実際に装置で得られる分析結果を計算によりシミュレーションすることに成功しました。これほど多くの炭素材料の構造をシミュレーションした例はなく、今後の炭素材料に関する多くの研究において重要な結果が得られました。

図1-2-1 OHが導入されたグラフェン[1-2-1]      図1-2-2 左図のC1s XPSスペクトルのシミュレーション結果[1-2-1]

[1-2-1] Y. Yamada, et al., "Analysis of heat-treated graphite oxide by X-ray photoelectron spectroscopy", J Mater Sci 48 (2013) 8171-8198.
[1-2-2] J. Kim, Y. Yamada, et al., "Pyrolysis of epoxidized fullerenes analyzed by spectroscopies", J. Phys. Chem. C 118 (2014) 7076-7084.
[1-2-3] Y. Yamada, et al.,"Nitrogen-containing graphene analyzed by X-ray photoelectron spectroscopy", Carbon 70 (2014) 59-74.
[1-2-4] J. Kim, Y. Yamada*, M. Kawai, T. Tanabe, S. Sato, "Spectral change of simulated X-ray photoelectron spectroscopy from graphene to fullerene", J. Mater. Sci. 50 (2015) 6739-6747.
[1-2-5] Y. Yamada*, S. Sato, "Structural analysis of carbon materials by X-ray photoelectron spectroscopy using computational chemistry (Review by awardee)", Tanso 269 (2015) 1-9.


(2)ナノカーボン材料の欠陥除去

炭素材料の欠陥は、機械的、電気的、熱的特性に大きな影響を与えます。これらの欠陥を除去することにより理論に近いナノカーボン材料を調製することを目指しています。



(3)ナノカーボン材料の欠陥量とサイズの制御

炭素材料にはベーサルとエッジがあり、特にベーサルへの空孔欠陥の導入を行い(図3-1)、この構造を解析しています[3-1]。

図3-1 空孔欠陥導入過程


          図3-2 Sub-nanometer vacancy defects introduced on graphene by oxygen gas

[3-1] Y. Yamada, K. Murota, et al., "Subnanometer vacancy defects introduced on graphene by oxygen gas", J Am Chem Soc 136(6)(2014)2232-2235.


(4) グラフェン錯体の合成と配位金属の凝集機構の解明

ナノカーボン材料の欠陥部分を利用した金属イオンの配位(図4-1、4-2)と、この配位金属イオンの凝集機構についての研究を行っています [4-1, 4-2]。
            

図4-1 グラフェン錯体のイメージ図          図4-2 金属イオンのグラフェンへの配位[4-1]

[4-1] Y. Yamada, M. Miyauchi, et al., "Exfoliated graphene ligands stabilizing copper cations", Carbon 49 (2011) 3375-3378.
[4-2] Y. Yamada,Y. Suzuki,H. Yasuda,et al.,"Functionalized graphene sheets coordinating metal cations", Carbon 75 (2014) 81-94.



(5)構造制御された炭素材料の調製

種々の多環芳香族化合物を脱水素させ、構造制御された炭素材料を調製しています[5]。

[5] Y. Yamada*, S. Matsuo, K. Abe, S. Kubo, S. Sato,"Selective doping of nitrogen into carbon materials without catalysts", J. Mater. Sci. 51(19) (2016) 8900-8915.



(6)官能基の移動現象・ガス化機構の解明

加熱による炭素材料表面(ベーサル面とエッジ面)の官能基の移動現象と、ガス化について研究しています[6-1,6-2]。

                  Fig. Pyrolysis of epoxidized fullerenes (Calculated by Gaussian03)


[6-1] J. Kim, Y. Yamada*, et al., "Oxygen migration and selective CO and CO2 formation from epoxidized fullerenes", J Phys Chem C 118(13)(2014)7085-7093.
[6-2] J. Kim, Y. Yamada*, et al., "Pyrolysis of epoxidized fullerenes analyzed by spectroscopies", J Phys Chem C 118(13)(2014)7076-7084.




(7)グラフェンエッジの臭素化
グラフェンのエッジは様々な欠陥構造をとり得ます。この様々な構造を有するエッジと臭素との反応性について研究を行っています[7]。臭素化により、C-Cカップリング反応を用いたエッジの官能基の修飾などが行えるようになります。

[7] Jungpil Kim, Yasuhiro Yamada*, Ryo Fujita, Satoshi Sato, "Bromination of graphene with pentagonal, hexagonal zigzag and armchair, and heptagonal edges", J Mater Sci 50 (2015) 5183-5190.



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これまでに御協力いただいた団体
2009 国立大学法人 千葉大学
2010 一般財団法人 丸文財団、
        日本学術振興会(科研費)、
        国立大学法人 千葉大学
2011 石川カーボン科学技術振興財団、
        一般財団法人 丸文財団、
        財団法人 総合工学振興会、
        日本学術振興会(科研費)
2012 石川カーボン科学技術振興財団 、
        一般財団法人 丸文財団、
        一般財団法人 化学物質評価研究機構、
        公益財団法人 村田学術振興財団、
        公益財団法人 矢崎科学技術振興記念財団
2013 公益財団法人 徳山科学技術振興財団、
        公益財団法人 村田学術振興財団、
        国立大学法人 千葉大学
2014 一般財団法人 丸文財団、
        日本学術振興会(科研費)、
        公益財団法人 マツダ財団、
        公益財団法人 泉科学技術振興財団、
        企業1社
2015 日本学術振興会(科研費)、
        一般財団法人 一樹工業技術奨励会、
        一般財団法人 イオン工学振興財団、
        公益財団法人 小笠原科学技術振興財団、
        国立大学法人 千葉大学、
        企業2社
2016 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構/NEDO
        公益財団法人 村田学術振興財団、
        国立大学法人 千葉大学(2件)、
        企業3社
----- Updated in Aug 2016 -----